大富豪の猫育成ゲーム:かわいいシミュレーション

ゲーム開発者が開発者の目線で、このゲームの面白さを分析していきます。
なお、面白さのポイントについては、ゲームデザイナーJey.P.さんのブログの考え方に基づいて分析していきます。

私自身、この方のブログを読んでから、面白さへの解像度が上がった気がするので、一読をお勧めします。

＜Jey.P.さんのブログはこちら＞

参考

ゲームの面白さとは何か？ – 7つのエレメントと対応するゲームジャンル｜Jey.P.

note（ノート）

ゲームの概要

猫放置経営シミュレーションゲーム。
シミュレーションゲームとなっているが、働いてる猫達を眺めて癒されるという放置要素が強い。
ビル経営を任された猫が、テナント契約を結んだり、ビルをメンテナンスしたりしつつ、ビル入居者が満足するように設備を整えたりしていくゲーム。設備の拡張や効率化という点にシミュレーション要素がある。
ねこのキッチンと同じ作者。

このゲームのような、眺めているだけの放置ゲームは、いかに飽きさせないかが重要になってくると思う。
飽きずにずっと眺めていられるものって何だろうと考えてみた。
たき火、海、川。
けっこう眺めていられる。
こういったものに共通しているものは、絶え間なく変化しているものかなと思った。
画面を絶え間なく変化させる。
それができないと、放置ゲームをプレイしてもらうのは難しいかもしれない。

このゲームの新しいところ

このゲームの新しさというよりは、この猫シリーズのデベロッパーの擦り方で新しく見せる方法だったり、売り出す方法だったりが見えてくる気がする。
擦り方というと、敬遠する人もいそうだが、擦ってなんぼ。
スーパーマリオなんて何種類ゲームがあるんだ。
と師匠（と私が勝手に言っている人）が言っていた。
早く擦りたい。
擦りたおしたい。
もうなんなら、擦り切れた向こう側に、新しいものを見出したい。

心の声が漏れてしまったが、このゲームのデベロッパーは、もともと猫がキャラクターのゲームを多くリリースしているデベロッパーとなっている。
猫ブームが先なのか、デベロッパーの方向性が先なのかは分からないが、このデベロッパーは猫のキャラクターに強かった。
そして、放置ゲームが売れだした時期に、間髪入れず可愛い猫のクリッカー系放置ゲーム(ねこのキッチン)をリリースし、大ヒットしている。
何かが売れ出したときに、自分の強みでどんなゲームが作れるのか。
それを即座に考え、ゲームを作り切る。
この点はしっかり見習いたい。

そして、次に猫の放置ゲームとしてリリースしたのが、ねこ大工というゲーム。
しかし、やることを盛り込みすぎたのか、ステージを広大にしすぎて、眺める要素が薄れてしまったのか、いずれにしてもねこキッチンファンは、もっとライトなゲームを求めていたらしく、あまり売れていない。(とは言ってもレビュー数5000近くあるので、充分すごい)

そこで、ねこ大工から要素をマイナスして、ライトユーザー向けに調整されたのが、この大富豪のねこ育成ゲーム。
要素をマイナスしたことで、再び自分のファンに刺さるゲームとなり、これまた大ヒット中という状況。

擦るときは要素を足しがちだが、その要素がほんとにユーザーに求められているものなのか、そこはしっかり考えなければいけない。
というかゲーム作ってる人は、だいたいみんなサービス精神旺盛なので、この要素を追加すれば面白くなるんじゃないかと、ついつい盛り込みすぎちゃうのかもしれない。

面白そうに見えるポイント

何か問題を解決していくシミュレーションゲームなんだろう、ということが分かるし、大量の猫達がいることによって、これだけの猫が出てくるんだと、ちゃんと猫好きが手に取ってくれるスクリーンショットになっている。

面白いポイント

物語と模倣　×　成長と達成

何かの流れを模倣できるのがシミュレーションゲームだと思っている。
シムシティなら街づくりが模倣できるし、信長の野望なら国取りが模倣できる。
このゲームではビル経営が模倣できるが、テナントに入ってくれる企業を選んで、得た収入で設備を整えるというライトな模倣になっている。
これは、このゲームのファン層やこのゲームのターゲット層に、シミュレーションゲームガチ勢がおそらくいないため、このライトさが合っているからだと考える。
(シミュレーションガチ勢に売るなら、もっとシビアなマネジメントを要求することになる気がする)
そして、設備投資をすることで、収益も上がり、見た目も豪華になっていくという成長と達成が味わえる。