Game of Thrones : Tale of Crows

ゲーム開発者が開発者の目線で、このゲームの面白さを分析していきます。
なお、面白さのポイントについては、ゲームデザイナーJey.P.さんのブログの考え方に基づいて分析していきます。

私自身、この方のブログを読んでから、面白さへの解像度が上がった気がするので、一読をお勧めします。

<Jey.P.さんのブログはこちら>

ゲームの概要

アドベンチャー型ストラテジーゲームとでも言えばいいのだろうか。
ゲーム内容としては、プレイヤーは総帥として「壁」の防衛や北方へ遠征隊の指揮を執る。
遠征はリアルタイムで進行し、ゲームを閉じている間も探索が続き、カラス(将校のような存在)を介して届く報告に応じて指示を出す。
届く報告には、未知の危険や新たな敵、そして新たな同盟者と遭遇しながら、最善と思われる選択をしていく。というもの。
どこへ向かわせるか、誰を向かわせるか、どんな行動をさせるか、全てはテキストベースの選択肢を選ぶことで進んでいく。

このゲームの新しいところ

テキストベースのアドベンチャーなら大量にあるだろうが、そこにストラテジー要素が加わっているところが新しい。
アドベンチャーなどで選択肢を選ぶ時、大抵は自分だったらどっちを選ぶだろうか、とかこのキャラクターだったらこっちを選ぶのではないか、というような、誰かの立場で考えて行動することになると思う。
この「考えて行動すること」が、感情移入につながり、感情移入することで、物語がより楽しめるようになる。
この流れが、アドベンチャーを面白くさせている部分だと思う。
そして、このゲームでは、アドベンチャーにストラテジー要素をが加わっていることから、感情論だけで行動することはできず、目的を達するためにはどうしたらよいか、ということも考えなければならない。
「考えて行動すること」という大きな部分は変わらないが、感情的に選択したくない選択肢も選ばざるを得ない、という場面も出てくるだろう。
これが、テキストベースのアドベンチャーに、ストラテジー要素が加わると新しくなるということだと思う。

プレイヤーは自分で選択しているようで、気づかないうちに開発者の意図した選択肢を選んでいる。
そんなことができれば、いい意味で裏切りのある、面白い体験を作り出すことができそうだ。

テキスト型アドベンチャーゲームの歴史についてはこちら

面白そうに見えるポイント

テキストベースのゲームなので、ゲーム世界の構築は、基本的にはプレイヤーの想像力に委ねる形になると思う。
ただ、全てを想像してもらおうとすると、細かな描写が必要だし、ある程度でも作者の意図した世界を想像してもらおうとすれば、技術が必要になる。
そう考えると、小説家の方ってほんとすごい。
このゲームでは、トゥーン調に統一された世界が用意されており、その世界の一部を切り取ったような見た目の中で物語が進んでいく。
世界の大枠だけ作り、細かな部分はプレイヤーの想像に任せる、という見た目になっている。
これは、開発者が自分の作った世界を見せたかった、ということになる。

情報不足を自動的に補う能力は、ゲームデザインと密接に関係しています。つまり、ゲームに微細なディテールを加える必要はなく、プレイヤーが自分で不足を補えるからです。アートは、プレイヤーに必ず見せるべきものと、プレイヤーの想像力に委ねるべきものを把握することから始まります。

Jesse schell(2019),ゲームデザインバイブル第2版,オライリー・ジャパン

「ゲームデザインバイブル」でも触れているが、開発者が一番見せたいものは何なのか、プレイヤーの想像に任せていいものはなんなのか、そこをしっかり考える必要がある。

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ゲームデザインバイブルについてはこちら

面白いポイント

メイン 意思決定 × 物語と模倣

ノベルゲームのようにテキストベースで物語は進んでいき、その要所要所で様々な問題が発生する。
敵が攻めてきた、壁が壊れた、資材が足りない、どう対応するか。
選択が迫られ、意思決定をすることになる。
また、問題が発生したとき、という後手の対応だけでなく、将校を探索に向かわせ、今後に備えておくということもできる。探索先でどんなことができそうか、また、各将校がどんなことが得意か、これもテキストベースの情報から選択をすることになる。

ターゲットユーザーとペルソナ

ターゲットユーザー

歴史ロマン志向型の30代男性

ペルソナ

名前:中村 達也(なかむら たつや)

年齢:36歳

性別:男性

職業:高校の歴史教師(公立校・勤続12年)

居住地:神奈川県横浜市

家族構成:妻と5歳の息子

学歴:大学では西洋史を専攻(中世ヨーロッパ文化研究)

■ パーソナリティと価値観

  • 落ち着いた性格で、表には出さないが情熱を内に秘めるタイプ。
  • 派手さよりも「静かな深み」に価値を感じる。
  • 自分の時間と空間を大事にしており、夜中や休日の早朝に一人でコーヒーを飲みながら読書やゲームを楽しむのが日課。
  • 歴史的背景や神話体系がしっかり作られている作品に惹かれやすい(例:『指輪物語』や『風の谷のナウシカ』)。

■ 好きなこと・趣味

  • 歴史小説(塩野七生、司馬遼太郎など)
  • 歴史系YouTubeやPodcastの視聴
  • ゲームは『Civilization』『風来のシレン』『Heaven’s Vault』など、ゆっくり遊べるものが多い
  • Apple Arcadeユーザーで、広告や課金で没入感を壊されるのを嫌う
  • 息子が寝たあとの“自分時間”に短時間でも深い没入感を得たい

まとめ

結論。
テキストベースのゲームを作る時は、自分が一番見せたいものはなんなのか、プレイヤーの想像に任せるものはなんなのか。
そこをしっかり考えること。

Game of Thrones: Tale of Crows
Game of Thrones: Tale of Crows
開発元:Devolver
posted withアプリーチ

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